浅地神社の境内に古くからのお堂がありました。観音様が祀られていて霊験があり村人たちの信仰を集めていました。
神社の近くに藤八という者が住んでいました。藤八の父親は熱心に観音様を守っていましたが、寄る年波に勝てず亡くなってしまいました。その父親に代わって当然堂守りをすると思われていた藤八はどうしたわけか、堂守りどころか家業も放り出してぶらぶらと毎日を過ごすようになってしまいました。もちろん誰の説教にも耳を貸しませんでした。こうした藤八を見るに見かねたのか、観音様は毎朝藤八の枕元に立って戒めました。「これ藤八よ、起きなさい。起きて草刈りに行くのだ。」しかし藤八は朝寝坊をやめるどころか観音様をうるさがって、とうとうある日、川へ投げ捨ててしまいました。
幸いなことに観音様が捨てられた川は埴生護国八幡宮近くを流れていたので、観音様は埴生地内の漁師に拾われて大事に祀られました。ある日、たまたま通りかかった一人の旅の僧がもらい受けて以降、観音様は多くの人の手に渡って、やっと落ち着いたのが江戸の浅草、現在の浅草観音であると伝わっています。
一方、藤八のその後は誰も知らなかったということです。
住所 : 〒富山県小矢部市安養寺1937
駐車場なし(住民の方々のご迷惑にならない様注意しながら周辺に停車してください)